RAW現像で全体の調整は完了していますが、プラモデル撮影では埃や傷、色ムラなどが写真上で目立ちやすくなります。
そのため、Photoshopで細部を整えるレタッチ工程が必要になります。
レタッチでは不要な要素の除去と、パーツごとの質感・色の調整を行い、違和感のない自然な仕上がりを目指します。
作業は非破壊編集を前提に、調整レイヤーやマスクを使って進めます。
■レタッチ工程
作業順は一例ですが、以下の流れがおすすめです。
色・明るさ調整 → ディテール → ごみ処理 → 仕上げ
先にごみ処理を行うと、後工程で新たに埃や傷が目立つことがあるため、最終工程に近い段階で処理します。
・パーツごとの調整
ガンプラなどのプラモデルはパーツごとに色はもちろん材質の違い、塗装していれば塗装剤によっても違いが生まれ、撮影時のライティングのみで再現をすることは困難となります。
そのためパーツごとに現物と確認し適性の色が出ているか、明るさは十分かを確認していきます。
方法はレイヤーマスクを使用する、範囲指定したパーツをコピーレイヤーとして補正し重ねるなど、いくつか選択肢はありますが、なるべく違和感なく仕上げるためには境界をぼかす、重ねたレイヤーを半透明にするなどして、元の写真に馴染んでいる状態にしていきます。
色でまとめて調整をおこないたい場合は、色相・彩度の調整からおこないます。
プロパティの上部に指のアイコンがあり、これをクリックするとマウスカーソルがスポイトマークに切り替わるため、写真の該当の箇所をクリックして指定したい色を抽出します。
より精密に抽出したい場合はプロパティの下側のカラーピッカーに表示されている範囲を狭める事で調整範囲を絞る事ができます。この時、彩度や色相を+100もしくは-100に設定してどの範囲に効いているか確認しながらおこなうと処理がおこないやすくなります。
同系色の造形物の場合、これでも絞り切れない場合がありますが
その場合はマスクで調整をおこなうか、photoshopの上部メニューから
選択範囲>色域指定
からツールを開き、写真の該当箇所をクリック抽出し許容量で範囲を絞っていきます。
これは通常表示の場合、赤く表示された箇所は選択されず、元画像の色が表示された箇所が範囲選択されるツールとなります。これをレイヤーマスクとしておこなうか、選択範囲として元画像から範囲内をコピーし、その画像を調整します。
またシャドウになりすぎている箇所や、ハイライトが強すぎる箇所も範囲選択、またはレイヤーマスクで補正していきます。選択方法は境界がはっきりしていれば「クイック選択ツール(ショートカットW」である程度自動で判別して選択をしてくれます。Altキーを押しながらクリックすることで選択範囲をマイナスすることが可能です。境界の階調が浅く選択がうまくできない場合は
「多角形選択ツール(ショートカットL)」か「パスツール(ショートカットP)」で選択範囲を手作業でつくりトーンカーブやレベル補正などで作業をおこないます。
色の調整をおこなう際は、モニター環境による見え方の違いにも注意が必要です。
可能であればキャリブレーションされたモニターを使用し、見た目だけでなくヒストグラムや数値情報も参考にしながら調整をおこなうことで、より安定した色再現につながります。
・ディテール
RAWデータではシャープやノイズ除去の処理もされていない状態となっています。
そのため処理の段階で補正をかける必要があります。
現像段階で、ある程度ディテール調整をおこない、パーツごとにピントが甘い場所には選択範囲で
個別にシャープをかけていくことで、パンフォーカスのように全体をシャープにすることが可能です。Photoshopでシャープ処理を行う際は、スマートシャープツールを使用します。
スマートシャープの設定項目は以下となります。
・量:シャープの強さ
・半径:シャープがかかるエッジの範囲
・ノイズの軽減:シャープによってかかってしまうノイズの軽減量
これらを調整して最適な状態に仕上げます。
また詳細設定としてシャドウ・ハイライトの階調それぞれで調整が可能となっています。
シャープ処理は強くかけすぎると不自然な輪郭やノイズの強調につながるため
最終的な使用サイズ(Web・印刷など)を想定した上で適切な強さに調整することが重要です。
・ごみ処理
プラモデル撮影において完全に埃や傷がない状態で撮影することは極めて困難です。
ただ撮影の段階でブロアーなどで極力埃を減らしておくことも大切です。
プラモデル撮影でのごみ処理は大まかに
埃とり、塗装ムラの処理、ゲート・パーティングライン処理、シール処理などをおこないます。
これらの工程は明るさによって判別がしずらいこともあるため、チェック用のトーンカーブレイヤーやレベル補正レイヤーで明るくしたり暗くしたりしながら行うと、処理がおこないやすくなります。
・埃とり
プラモデルに付着した微細な埃を除去していきます。
スポット修復ブラシツールや削除ツール(ショートカット])で1つずつ処理をおこないますが
範囲が広い場合、パッチツールでまとめて処理をおこないます。
基本的にはAIで判別をおこなってくれるスポット修復ブラシツールを使いますが場所によっては上手く判別をしてくれない場合があるため、その際はAIを活用した削除ツールで削除していきます。
AIでも判別が上手くいかない場合はコピースタンプツール(ショートカットs)で
手作業で処理をしていきます。
処理を行った際に境界が不自然になってしまう場合がありますが
その際はパッチツールで囲み馴染ませていきます。
床面などに埃が多数ある場合は選択範囲で床面をまとめて選択しメニューから
フィルター>ノイズ>ダスト&スクラッチ
でまとめて処理をおこないます。
背景に見切れやレフなどが写り込んでしまっている際は
選択範囲で選択し
AIの生成塗りつぶしで処理をおこなうと綺麗に消してくれます。
ただこの生成塗りつぶしは選択範囲をはみ出して処理をするケースが多いため
生成されたものが被写体に重なっていないか必ず確認が必要です。
・塗装ムラの処理
塗装されたプラモデルは人の目では綺麗に塗装されている状態でも
写真として見たときに光の当たり方などで塗装ムラが目立ってしまう事が多々あります。
特に墨入れは多少のはみ出しでも目立ってしまう事があります。
塗装ムラはパッチツールで処理をおこないます。
1度では境界が不自然になってしまう事もあるため
何回かにわけておこなうと馴染みやすいです。
また場合によっては削除ツールでまず大まかに処理をおこない
それをパッチツールで馴染ませていく2段階でおこなうと綺麗にいく場合もあります。
墨入れのはみ出し処理はスポット修復ブラシツールや削除ツールでは線自体を消してしまうこともあるためその場合はコピースタンプツールで手作業でおこなう方が早く処理がおこなえる場合もあります。
・ゲート跡・パーティングライン処理
プラモデル製作の段階で、これらの処理をある程度おこなっていても
写真で見たときに目立ってしまう事が多い箇所です。
この箇所で最も注意する点は誤って造形部を消してしまうことです。
緻密につくられているプラモデルほど細かく細部まで造形が
ほどこされています。そのため拡大表示し見ていると造形箇所とゲート跡の判別が
難しい場合があります。処理を行うときは拡大表示のみに頼らず
定期的に全体が見える倍率で確認することが大切です。
削除ツールやスポット修復ブラシツールである程度処理はできますが
綺麗に消せない場合はコピースタンプツールで手作業でおこないます。
パーティングラインはパッチツールでおこないますがなげなわツール形式だと
選択範囲がとりずらいため多角形選択ツールで該当の箇所を最小限で選択した後、
パッチツールに切り替え作業をおこなうと綺麗に仕上げやすいです。
・シール処理
大半のプラモデルに使用するシール類ですが
多少なりともズレが発生しやすい箇所です。
写真で見たときにズレが気になる様ならまずシールを選択、切り抜きをして別レイヤーとして
上に重ねて非表示にしておきます。元画像に戻りシールを削除ツールやパッチツールで綺麗に消し
切り抜いたシールレイヤーを表示させ回転や変形でぴったりの形に整えて結合することで
ズレなどを整えることが可能です。
・仕上げ処理
各パーツごとの調整や修正が完了した後、全体のバランスを整えるための最終調整をおこないます。
トーンカーブや色調整を用いてコントラストや色味の統一感を確認し、
部分補正によって生じた全体のズレを整えていきます。
ごみ処理後は同じパターンの繰り返しや境界の不自然さが出ていないかを確認し、
必要に応じて微調整をおこないます。特にコピースタンプツールを使用した箇所は違和感が出やすいため注意が必要です。
プラモデル全体と拡大表示を切り替えながら修正が必要な箇所が残っていないかチェックをおこないます。チェックの際は現物と見比べながらやることが大切です。
レタッチは単なる修正作業ではなく、撮影で捉えた情報を正しく整理し、実物の魅力をより正確に伝えるための仕上げ工程です。
細部まで丁寧に整えることで、完成度の高いビジュアルへと引き上げることができます。
撮影・現像・レタッチ、それぞれの工程を適切に積み重ねることで、最終的なクオリティは大きく変わります。
一つひとつの工程を意識しながら、安定した仕上がりを目指していきましょう。
