近年のプラモデルは、設計技術・成型技術の進化により、高精度・高品質化が進んでいます。
ガンプラはじめ昨今のプラモデルは
パーツの分割やディティール表現は非常に緻密で色分けや可動構造の工夫も向上しており、
細部に至るまでリアルな造形が再現されています。
このような緻密な手のひらサイズのキットに本物のようなメカのリアリティを持たせ
高精度な造形を鮮明に写し表現するには、きわめてシビアな設定と技術が求められます。
今回は弊社がスタジオでプラモデルを撮影する際、
特にパッケージ用の素材として使用されることを前提とした
カメラ設定とアプローチを解説します。
・絞り(F値)のジレンマ:被写界深度と回析現象のバランス
プラモデル撮影で最も頭を悩ませるポイントが被写界深度の深さです。
プラモデルの撮影では、接写をおこなうことがほとんどです。
ただ接写をおこなう場合、被写界深度が浅くなります。
そのため手前から奥まで全体にピントを合わせるパンフォーカスのためには、
絞りをF16やF22など限界まで絞り込むのがセオリーと考えられています。
しかし絞り込みによって回析現象が発生し写真全体の解像度が著しく低下します。
これによりピントを合わせるつもりで絞り込んだが逆にボケて見えてしまうという
ジレンマが発生します。
これは高画素機になるほどより目立ってしまいます。
この現象はレンズの絞り羽が狭くなることで(絞り込む事で)光の性質によって
絞り羽の外側に光が広がり全体的にボケて見えてしまうことが原因となります。
(これを小絞りボケと言います)
この二つのバランスをとり最適な絞り値で撮影することが大切です。
商品撮影では撮影した写真データをそのまま使用することはほぼ無く、
レタッチ前提の絵作りをおこなっています。
そのためシャープ処理やピント合成を前提に許容範囲を定めて撮影することで
このジレンマを最小限に抑える事が可能です。
・レンズ選びと焦点距離:最短撮影距離とズーム性能
プラモデルの撮影では接写性能が求められます。
そのため最短撮影距離(撮影倍率)がレンズ選びで重要な項目となります。
一般的な相称としてマクロレンズと言われるレンズは接写性能に特化したレンズで撮影倍率が1倍となります。これは実物のサイズとセンサーに写るサイズを同一の大きさで写すことができるほど近接撮影が可能となります。
マクロレンズは基本的に単焦点レンズとなり焦点距離が一定のものとなります。
そのため微調整がきかずレンズ交換によって広角・標準・望遠を使い分ける必要が出てきます。
商品撮影の場合、デザイナーが意図するイメージに沿って撮影する必要があるため
この微調整ができない状態は致命的です。
プラモデルはわずかな焦点距離の変化でパース感も変化してくるため
ズームレンズで撮影することでこの微調整に対応する事ができます。
ただズームレンズではマクロレンズのように接写できるものが少なく限られてきますが
ハーフマクロと呼ばれる撮影倍率が0.5倍に迫るレンズが各社であるため
基本的にはこれを普段利用しています。
・切り抜きと角版を両立した撮影
パッケージに使用する写真は時には背景を切り抜かれ、時には角版として使用されます。
またパッケージでは切り抜かれて使用されたがECサイトでは角版として使用されるパターンも往々にあります。そのためどちらにでも対応できる用に
ライティングをつくり撮影をする必要があります。
まとめ:撮影とデザインのシームレスな連携がクオリティを決める
プラモデルの魅力をパッケージで伝えるためには、メカニカルなディテールを捉えるカメラ設定の知識と最終的なパッケージデザインから逆算した撮影のアプローチの両方が不可欠です。
弊社ではホビー特有のシビアな撮影技術を持つだけでなく、そのままパッケージデザインへと
一貫して制作できる体制を整えています。
デザイナー自身がどうレイアウトするかを把握したうえで
撮影のディレクションをおこなうため、
写真の魅力を120%活かしたパッケージの制作も可能です。
パッケージデザインに合わせた魅力が伝わる商品撮影をしてほしい、
デザインをくみ取った撮影をしてほしい、
という課題に答えられる撮影を心掛けております。
